2007年6月16日土曜日

ビリービーンが2014年までA'sとの契約を延長

2007年5月19日付けの当ブログのエントリー「ビリービーンはA'sのGM職を辞したのですか。」の中で、私は、

ビリービーンの肩書が、「アスレチックスの元GM」となっていましたが、彼はいつ同球団のGM職を辞したのでしょうか。


と書きましたが、やはりビーンはA'sのGM職を辞してはいないようです。

日本時間2007年6月14日付けのMAJOR.JPのニュースで、ビーンとA'sとの契約延長が報じられました。念の為に、A'sの公式サイトも確認してみたところ、その旨のプレスリリースが出されていました。「契約延長」というのは、現在も契約しており、それを継続するという意味に解するのが相当でしょうから、やはり、朝日新聞が報じた、「元GM」というビーンの肩書は誤りだったことになります。

さて、MLBの各チームの公式サイトには、MLB.comの記者が書いた記事(こちらはチームの公式なステイトメントではありません)も掲載されているのですが、今回のビーンの契約延長に関する記事の中に、

Beane has frequently and openly discussed his interest in a career outside of baseball, and he's grown increasingly fascinated by the world of soccer.

(ksasaki試訳)ビーンはこれまで、野球以外の仕事への興味を頻繁に公言し、サッカーの世界にますます魅了されるようになっている。

とありました。不勉強な私は、ビーンがサッカービジネスに興味を持っているということは知らなかったので驚きましたが、彼のサッカー界での活躍を見てみたい気もします。

もちろん、A'sのGMとしては、ワールドシリーズ制覇が未達の目標として存在しているのでしょうが、いわゆるマネーボール理論(セイバーメトリクス)は、よく言われているように、長いシーズンをトータルに考えると非常に有効ではあるものの、短期決戦を制するようなチーム力をつけるのは難しいようなので、過去7シーズン中5度もポストシーズンに進出しつつも一度もワールドシリーズ制覇を成し得ないことについて、ビーンに諦観のようなものがあり、その結果として興味がサッカーへ向いているのではないか、そんなことも考えてしまいます。

いずれにしても、解任されないかぎりは、2014年までは、ビーンのA'sが見られそうです。

2007年6月4日月曜日

マル激トーク・オン・ディマンド第322回「プロ野球の凋落にみる日本問題の深層」について

マル激トーク・オン・ディマンド第322回は、プロ野球の凋落にみる日本問題の深層というタイトルで、日本のプロスポーツの問題点を議論するものでした。

ゲストは、スポーツビジネスに詳しい、帝京大学教授の大坪正則という方でしたが、氏の発言の中に、米メジャーリーグの、徹底して合理的なフランチャイズ戦略を知ることができるものがありました。私が簡単に示しますと、

1. ある一定数以上の人口のある地域内でのみ独占営業権を1チームに与える
2. 大都市に関しては2チームの存在を認めるが、
a.各々のチームは別々のリーグ(アメリカンリーグとナショナルリーグ)に所属させる
b.片方のチームがホームで試合を主催するときは、もうひとつのチームはアウェーに遠征させる

なるほど、たしかに合理的な配置のしかたですね。まず、そもそも集客が見込めないところにはチームを置かない(1)。しかし、2チーム分の集客をアテにできるほどの、極めて人口の多い大都市に関しては例外を認める(2)。ただし、同一都市で同時に2試合を開催することのないようにする(a,b)。a.に関しては、必ずしもb.の論理的前提だとは思いませんが、b.を徹底する大きな助けにはなるでしょう。

折角なので、2007年6月2日の試合日程を、上の2(a,b)にあてはめてみましょう。

番組中で、同一地区内に存在する2球団の組み合わせとされたのが、

(ニューヨークヤンキース, ニューヨークメッツ)
(シカゴホワイトソックス, シカゴカブス)
(ロサンゼルスエンゼルス, ロサンゼルスドジャース)
(オークランドアスレチックス, サンフランシスコジャイアンツ)

でしたが、ここに挙げた球団は、括弧内の前者のチームがアメリカンリーグ所属で、後者はナショナルリーグ所属になっており、a.のルールは守られています。

次に、試合開催地ですが、

ニューヨーク : ヤンキース@ボストン, メッツ@ニューヨーク
シカゴ : ホワイトソックス@トロント, カブス@シカゴ
ロサンゼルス : エンゼルス@ロサンゼルス, ドジャース@ピッツバーグ
サンフランシスコ : アスレチックス@オークランド, ジャイアンツ@フィラデルフィア

のようになっており、見事にホームとアウェーにわかれています。しっかりと管理されている感じが見えてきます。(注1)

一方、日本のプロ野球はあまりうまくチーム配置されているようには思えません。マル激内で、大坪氏はフランチャイズの範囲を、「2時間で球場に行ける距離」とされていましたが、東京都内に住んでいる人を例に考えてみると、東京ドーム、神宮球場はもちろん、グッドウィルドーム、横浜スタジアム、千葉マリンスタジアムあたりも2時間以内でアクセス可能でしょう。東京を中心とした、埼玉、神奈川、千葉圏は、相当多数の人口を抱える地域ですが、それにしても球団数が多過ぎではないでしょうか。

ソフトバンクや日本ハムは、地域密着型球団経営の成功例として挙げられることもあるようですが、地域に密着した経営手法を採ったからではなく、他の球団の影響力を排した、合理的なフランチャイズ経営の結果としての成功であり、それは正に地域で唯一の「2時間で行ける距離にある球場」であるからだ、というのが、番組内の発言から得た私の結論です。(注2)

一点、番組で言われていたことについて補足。プロ野球の人気凋落を示すためのグラフで、2005年に入場者数ががくんと下っているのは、前年までは実数での発表を行っていなかったためではないでしょうか。

(注1)1997年から始まったインターリーグについては、例外と考えるべきでしょう。

(注2)一般に言われている球団経営の「成功」の定義については、残念ながら不明です。ある程度強くて、よく観客が入ってるということでしょうか。数十億円規模の利益を生み出しているのならば、成功といえるのでしょうが、プロ野球構造改革推進の会の球界改革最終提言を見るかぎり、利益面から成功しているかどうかの判定をするのは難しそうに思えます。